依存症から回復するには

今回は依存症から回復するために必要なことを解説していきたいと思います。私は今ギャンブルをやめて8年が経ちますが、その中で教えてもらったこと、気付いたこと、今も実践していることなどを依存症に関する知識とともにお伝えします。

目次

治療ではなく回復

依存症者の間では、病気の状態から立ち直ることを治療ではなく回復といいます。なぜ治療という言葉は使わないのでしょうか?

それは、依存症が完治しない慢性疾患であるからです。

前回依存症者は脳の理性を司る前頭葉が委縮するという話をしましたが、こちらは時間経過とともにもとに戻ります。しかし、依存症になったら最後、一生付き合わなくてはならなくなるのが渇望現象です。

アルコール依存症者が最初の一杯に手を出すと、酔いつぶれるまで飲み続けてしまうように、途中でやめることができずに次を求めてしまうというものです。ギャンブルだと勝ったら調子に乗ってまた賭け、負けたら悔しくて取り戻そうとして賭ける。この渇望現象に捕まったら最後、自力で抜け出すことはできなくなってしまいます。

更に、この渇望現象の恐ろしいところは進行性だということです。長い間やめていた依存症者があるきっかけで再使用(依存症界ではスリップといいます)したとき、かつてよりも更に破滅的になってしまいます。ギャンブル依存症者でいうと、ギャンブルが原因で借金を作りそれがバレたとき家族に尻ぬぐいをしてもらったとします。一時は反省してギャンブルから離れたとしても、本質的な生き方は全く変わってないので、またギャンブルをやってしまいます。その時は最初作った借金よりも更に大きな額となって家族にバレてしまうということはよく聞く話です。

この渇望現象にはどう対処したらいいのでしょうか?

答えはやめ続ける最初の一回(一杯)に手を出さない。

今のところ残念ながらそれしかありません。今後医療の進歩や研究の発展などで解決策も増えていくかもしれませんが、現状薬や手術で治るものではないのです。だから、世の中の薬物、アルコール、ギャンブル依存症者たちはまた昔の破滅的な自分に戻らないように日々頑張って再使用しないように生きているのです。

依存症に効果的な二つの柱

依存症への解決策は再使用しないと言いましたが、どうすればよいのでしょうか?

依存症者は周りから「意志が弱いからやめられないんだ!またやってしまうなんて根性がない!」と言われます。私もさんざん言われてきました。しかし、依存症は渇望現象などの肉体的問題と、強迫観念という精神的問題を抱えています。決して意志だけではやめられないから病気なのです。

「俺も昔はギャンブルでたくさん問題や借金もした!でもやめれたからお前もやめれるはずだ!」

こういった意見もよく耳にします。個人的な見解ですが、こういった方は依存症ではなく中毒状態だったと思っています。ギャンブルの刺激や魅力に一時的にハマっておかしくなってもほかの趣味ができたり、子供が生まれてお金が必要になったりなどのきっかけでやめれる人は依存症まではいってません。ギャンブル依存症者はギャンブル以外の趣味なんてどうでもいいですし、結婚や出産の転機でギャンブルをやめようと思ってもギャンブルをし続けるばかりか、新たな生活環境でストレスをかかえてさらにひどくなる方もいます。

ではどうやってやめ続けることができるのでしょうか?

答えはアルコール依存症者が持っていました。一番最初に依存症からの回復を確立したのはアルコール依存症だったのです。

アルコール依存症者が築き上げた回復の原理は同じ依存症にも通用することがわかり、薬物やギャンブルなどにも応用されています。それは仲間意識(フェローシップ)と12stepプログラムです。

仲間意識(フェローシップ)

依存症は否認の病気とも言われます。やめたくてもやめられない生活を繰り返しているせいで、自分の自尊心はボロボロになってしまいます。また、依存行為が原因で家族や友人など身近な人に迷惑をかけて罪悪感もあります。そんな生活を繰り返す中で強迫観念が形成されていきます。

自分は誰からも必要とされていない、こんなダメ人間はこの世で一人だけだ、生きている価値がないなどは依存症者が皆感じていた気持ちです。このような気持ちで過ごすのは辛いのでなんとか解消しようとしますが、依存行為以外でスッキリできない体になっているのでまた依存行為を繰り返します。こうした負のスパイラルから抜け出せなくなるのが依存症という恐ろしい病気なのです。そして、周りをドンドン巻き込んでしまうのでたちが悪いです。

そんな状態ですから、周りからアドバイスや励ましの声を言われても全く響きません。私も一番ひどい時は周りに対する妬みや恨みがひどかったですし、何か言われても「お前に何がわかんねん」と聞く耳を持っていませんでした。しかし、同じ依存症から立ち直った人からの話には効果があることが100年以上昔、欧米で発見されました。それが仲間意識(フェローシップ)です。依存症からの回復に必要なバイブルとして〔ビッグブッグ〕というアルコール依存症者の回復を記した本があるのですが、その中の一文に共感がなければならないと書かれています。この共感こそが仲間意識の肝なのです。

具体的に仲間意識を感じる場所は自助グループと呼ばれる同じ悩みを持つ人たちの中にあります。AA(アルコホホーリクス・アノニマス)、NA(ナルコティクス・アノニマス)、GA(ギャンブラーズ・アノニマス)が代表的な団体で、AAはアルコール依存症者、NAは薬物依存症者、GAはギャンブル依存症者達の集まりです。アノニマスは無名のという意味なので、ギャンブラーズアノニマスは何物でもないただ一人のギャンブル依存症者ということです。

自助グループには上も下もありません。みな平等で、ギャンブルをやめたいという気持ちさえあれば誰でも参加することができます。自助グループのミーティングでは基本的に言いっぱなし、聞きっぱなしでテーマに沿って一人一人が自分のことについて語ります。

誰かの悩みの話が自分だけではないという励ましになり、誰かの成功体験が自分もそういう風にやってみようという解決策になるのです。私も最初20歳のころに自助グループに連れていかれましたが、その頃は傷の舐めあいとしか感じてませんでした。それは私自身がギャンブルをやめる気がなかったからです。しかし、施設に繋がってギャンブルをやめたいと意欲をもって参加すると、この空間が何物にも代えがたい場所だと気づかされました。今でも定期的に参加していますが、この自助グループでしか話さない、話せない話もたくさんあります。自分の嫌な気持ちやモヤモヤしたものを吐き出し、そこからどう解決に向けて行動するか話すことで気付くこと、人の話を聞いて気付くことがたくさんある場所なのです。

また、ミーティングが終わってからご飯を食べに行ったりお茶して話をしたりするのもフェローと呼ばれています。自助グループでの仲間と友達は違いますが、そこで仲良くなって友達になる方々もいます。ギャンブルでの付き合いしかない人はギャンブル仲間と関わることで再発のリスクがあるので避けるべきですが、そうなると仲のいい関係性の人がいなくなってしまいます。ミーティングで知り合った人と遊んだり趣味を教えてもらってそこから人生が充実していくケースもあります。これこそが自助グループの持つ仲間意識の力なのです。

12ステッププログラム

共感はとても大切だと先ほど述べましたが、共感だけでは依存症を克服することが困難です。なぜなら、自分の性格や生き方が変わっていないからです。そこで依存症者のために作られた人生を変える為の指南書が12ステッププログラムです。1~12番目までのプログラムに従っていくことで、自分の感情・思考・行動を変えていくというものです。言い換えると依存症者用の自己啓発プログラムということになります。

12ステッププログラムのことをビッグブッグでは簡単な行動原理と記されています。この簡単は英語に直すとeasyではなくsimpleです。つまり、ややこしく考えるのではなく、シンプルな原理に従って行動をしていく必要があるということです。

人生とは行動の連続です。その行動は普段の思考から派生します。その思考は感情によって影響されます。すなわち、自身が感じる感情に向き合い、日ごろ考える思考を正し、良い思考をもとに良い行動をすると、人生が良い方向に変わっていくということです。

12ステップを簡単に説明すると、1~3で行動に取り組む前に考え方を変えます。そして、4~具体的に行動をしていくのですが、まずは自分自身の棚卸しをします。棚卸しといえば商品の管理ですが、12ステップでは自分の感情を整理することを棚卸しといいます。主に恨み、恐れ、罪悪感について棚卸しをします。そして第三者にそれを見てもらい何が問題だったのかを客観的に分析していきます。自分の分析が終わり欠点に気づくとそれをいい方向に変えるべく自分と向き合います。そして、過去の清算として埋め合わせを行います。そこまでいけば基本は終わりです。あとは毎日プログラムを使って生活し、何か悩みができたり問題が起こると、自分の中で分析をして現実と向き合い埋め合わせが必要なら埋め合わせをするということを繰り返すのです。すると、いつしか人格が変わっていて昔のような辛く暗い毎日ではなくなっていることに気づきます。そんなうまい話があるわけないと思うでしょう。現に私も最初はそうでした。しかし、いいからやってみろと言われて素直にやってみると本当にかつての自分とは全く違う自分に変わっていたことは自分の身をもって証言できます。そしてそれは今まで回復してきた仲間たちが先人たちから教えてもらったことを私に教えてくれたからできたのです。ステップ12番目の最後のプログラムは自分が回復できたことを今悩んでいる依存症者たちに伝えていくことです。自分さえよければいいという昔の考えではなく、受けたその恩を新たに繋がった仲間に手渡していくこと。それこそが回復を強固なものにし、自分のためになる。まさに情けは人の為ならずの精神です。このサイクルが自助グループで回復が続いていく理由なのです。

12ステッププログラムに関しては今後1ステップごとに自身の経験を踏まえてお伝えしていきます。答えは一人一人違いますが、私の経験から何か参考になる部分が少しでもあれば私としては万々歳なのでよかったらまた見てみてください。

今回はギャンブル依存症から克服するための2つの柱について解説しました。まだざっくりとしか説明できてない分は今後細かく解説していきたいと思いますのでお楽しみに!

それでは、また!

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