依存症のメカニズム

現代人にとって無視できない存在の依存症。今回は依存症とは何か、人はどうして依存症に陥るのかについてお伝えしていきたいと思います。

目次

依存症とは

依存症を考えていく前にまず依存という状態について知る必要があります。

依存とは、

他に頼って在ること、生きること。人間の赤ん坊は、ほかの動物に比べてはるかに未成熟の状態で生まれるため、長い期間にわたって独力で生きていくことができず、周囲の大人、とくに母親からの扶養に頼らなければならない。これが対人関係における依存の原型である。子供は発育成長するにしたがって、自力で生活する領域を広げ、やがて独立した社会人として「自立」するが、これはかならずしも自分かってにふるまったり、「ひとりわが道をゆく」ことではない。われわれは、人と人とのかかわり合いの網目(あみめ)としての社会のなかに生きているのである。全面的な依存から出発した人間の成長した姿は、「ひとり立ち」ではなく、必要に応じ状況に応じて、お互いに依存しあう相互依存の状態である。

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

と書かれています。

依存と聞くとついつい悪いイメージを持ってしまいがちですが、人間は依存をしないと生きていけないということですね。

生きていくために必要なものといえば空気や水、食べ物などでしょうか。しかしこれらに依存しているとしてそれがいけないことだとは思わないでしょう。

しかし、何事もそうですが「過ぎたるは及ばざるが如し」という言葉があるようにやりすぎはよくないわけです。

お酒を飲むことやギャンブルをすることはストレス発散の娯楽行為であるはずが、刺激が強いあまりにやめられなくなります。

本来生きていくためになくても大丈夫なものが、いつしか水や空気と同じようになくては生きていけないくらいやめられなくなっている状態を依存症というわけです。

いろいろな依存症

依存症には大きく二つに分けることができます。それは

・物質依存

・行為依存

の二つです。行為依存についてはプロセス依存とも言われます。

物質依存は体内に何らかの物質を摂取することをやめられない状態です。薬物依存やアルコール依存が有名ですね。ほかにもタバコのニコチン依存や、アメリカではシュガーアディクションという名前で砂糖に対する依存も注視されています。最近ではエナジードリンクに含まれているカフェインも依存物質として注目されています。

主な物質依存

  • 薬物(大麻・覚醒剤・シンナー・危険ドラッグ等)
  • アルコール(お酒)
  • ニコチン(タバコ)
  • カフェイン(エナジードリンク)

行為依存は特定の行為をやめられない状態をいいます。ギャンブル依存や買い物依存、セックス依存やクレプトマニアといわれる窃盗がやめられない病気もあります。最近話題になっているゲーム依存も行為依存の一つです。

主な行為依存

  • ギャンブル
  • 買い物
  • 窃盗(クレプトマニア)
  • 仕事
  • 恋愛(性行為)
  • SNS(ネット)
  • ゲーム

また、もう一つ人間関係での依存状態を共依存と言います。代表的な例で言いますと夫婦でのDV(家庭内暴力)などがそうです。外から見ているとなぜいつまでも一緒にいるのか、別れたほうがいいのにと思いますが、当の本人達は彼(彼女)には私がいないとダメだという気持ちが強く、目の前の恐怖よりも相手と離れる時の喪失感のほうが耐えられないのでずっとそのままで居続けるというものです。

共依存に関しては依存症当事者だけでなく、家族も取り組まなければならない問題です。依存症当事者が周りに迷惑をかけていく中で、家族が何とかしようと奮闘しますがうまくいきません。そうしていくうちに私が何とかしなければという気持ちが強くなり、いつしか支配的になったり管理をしたり相手の気持ちばかりを窺ってしまったりするようになってしまいます。

共依存については別の回でしっかりとお伝えしていきたいと思います。

依存症へのプロセス

私はギャンブル依存症当事者ですが、世の中にはギャンブルを適切に楽しんでいる方もたくさんいらっしゃいます。では、どのような人が依存症になるのでしょうか?またどのようにして依存症になっていくのでしょうか?

まず人間には自分にとって気持ちがいいものを繰り返そうとする性質があります。例えばおいしい食べ物を食べたらまた食べたいと思ったり、努力していい成績が出ればもっと頑張ろうと思えたりすることです。これは生存のためのプログラムでもあります。性行為に快楽を感じるのも生物としての子孫を残すためです。

快感を感じる時に脳はドーパミンという物質を作ります。そして、ドーパミンは刺激が強いものほど分泌されます。

また、人間には同じ刺激に対して耐性が付く性質があります。強い刺激を受け続けると慣れてきて、最初満足していた分量・回数では満足できなくなって行きます。それは脳内でドーパミンが出にくくなったり、効きにくくなったりするからです。そうなると、以前と同じ満足感を得ようとすると、お酒であれば飲む量が増えたり、ギャンブルだと賭ける金額や時間が増えていきます。

しかし、そこで一つ疑問が生じます。お酒やギャンブルがいかに刺激が強いとしても全員依存症になるわけではありません。依存症になる人とならない人の違いは何なのでしょうか?

一つは遺伝によるものと考えられています。最近研究で分かったことで、依存症になった親の家庭で生まれた子供はそうでない子供と比べて依存しやすいとのデータが出ているそうです。それは、ドーパミンのような報酬系の脳内物質に弱いという体質のようです。かくいう私も、親はバリバリのギャンブラーで、たくさんの問題を起こしていました。病院に行って診断こそしてもらっていませんが、ギャンブル依存症当事者である私から見てもギャンブル依存に陥っていたと思います。こんな父親にはなるまいと思っていたのに気が付けば私もギャンブルで問題を起こしていたわけですから、意志の力とは違う要因があったと言えるでしょう。事実ギャンブル依存症者たちが集まる自助グループでは、親や親族が熱心なギャンブラーという話はあるある話です。

もう一つは悩みへの対処が苦手な方です。お酒やギャンブルなど、刺激が強いものは使用すると気持ちが良くなります。その瞬間悩みや問題は感じなくなります。するとお酒を飲むことやギャンブルをすることが問題をなくしてくれたと間違った成功体験をしてしまいます。実際には問題が解決されていませんので、またそれによるストレスや嫌な感情を作ってしまいます。健全であれば周りに頼ったり、誰かに打ち明けたりすることで解決に向けて建設的、理性的に進めていきますが、それが苦手な場合お酒を飲むことやギャンブルをすることで現実逃避をしてしまうようになってしまいます。そしていつしか辛い自分を癒す目的として依存行為をやめられなくなります。

こちらも私はとても当てはまっています。子供のころ長男として育てられた私はわがままを言うと怒られました。兄弟の面倒を見なさいとも言われ、お兄ちゃんなんだからとよく言われたものです。私は次第に親の顔色を窺うようになり、怒られるのが怖くなってしまいます。いつしか人に相談すると怒られるのではないかという気持ちが芽生え、いつも自分で何とかしなければと思っていました。そうするうちに悩みを打ち明けられない自分が出来上がり、人との関りも苦手になってしまいます。そんな時に出会ったギャンブルは、いやな気持をすべて忘れさせてくれたわけですから依存していくのも無理はありません。悩みを抱え込みやすいタイプは依存症になりやすいと言えるでしょう。

これらの要因は依存症になりやすいとは言いましたが、薬物・アルコール・ギャンブルはどれも刺激が強いので続けて刺激を受け続けることでこれらの要因がなくても依存症になる可能性は十分あります。なので、絶対に依存症にならないという保証はどこにもないということも覚えておいてもらいたいです。

また、依存のプロセスの中で自己治癒的な使い方になっていくことも大事なポイントです。刺激が強いあまり、他のストレス解消が効かなくなり依存行為ばかり繰り返すようになります。すると、辛いことや悩み事があると真っ先に依存行為が頭に思い浮かぶようになります。使った一瞬は楽になりますが、やってない間はイライラや不安が消えなくなります。そうなってしまうと最初はストレス解消であったかもしれませんが、依存行為なしでは生きていけない状態になってしまいます。実際には生きていけるのですが、それがない生活が考えられない、耐えられないという心情になってしまうのです。

最初は興奮したくて依存行為をしていたとしても、依存が進んでいくと落ち着きを得るためにするように変化していきます。私自身最初はギャンブルで大当たりした時にとてもドキドキしたりうれしくなったりしましたが、末期の時は当たりを引いても特に大喜びするわけではなく、よかったとホッとする気持ちになっていました。また、パチンコ屋に入る瞬間フッと楽な気持ちになったことも印象に残っています。

更に気を付けなければならないのは、依存行為を繰り返すうちに脳が変化していくことです。ドーパミンなどの強烈な刺激を生む快楽物質を出し続けることで脳の前頭葉がだんだん小さくなっていくことが研究で分かっています。前頭葉は理性を司る部分ですので、理性的に考えることができなくなっていき本能優先の衝動的な行動パターンに陥ってしまいます。この症状に関しては依存行為から離れて時間が経つと元に戻るとの報告もありますので、回復の重要性がわかると思います。

さて、今回は依存症のメカニズムについて書きましたがいかがでしたでしょうか。当事者ではありますが、お医者さんや研究者のような専門家ではないので多少違っているところはあるかもしれません。しかしまだまだ研究途上の分野ですので、経験値による見解もとても重要視されています。今後依存症から回復した方が増えれば統計などのデータも駆使してさらなる知見が期待されますので、私も含めてみなさんで回復を頑張っていきましょう!

次回は依存症からの回復をテーマに書いていきたいと思います。お楽しみに!

それでは、また!

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